子どもの疲労感はスマホやSNSが原因かも?スマホと睡眠不足の関係

子どもとデジタル関係

日本と海外の子どものスマホ利用率と寝る前の使用の実態!

小中学生のスマホ所有率は明らかに高くなっていますね。NTTドコモの調査(2023年)によれば、小学6年生ではスマホ所持率が50%を超え、中学生になると7割以上がスマホを持ち、中学3年生では約80%に達します

スマホを使い始める年齢も低年齢化しており、小学生高学年(4~6年生)のスマホ所持率は初めて4割を超えました​。

「持っている」ということは毎日スマホを利用している、ということです。いくら親子間でルールを決めても、ルールはどんどん緩くなりがち子どもにとってはもう最高のおもちゃですよね。私はデジタルデトックスデーを作っていますが、つい暇になるとスマホに手がのびていてハッとします。(電源オフの画面で行動が習慣化されていたことに気づく)

「モバイル社会白書2023」のデータでは、中学生がスマホ使用時間帯は

  • 使用時間は「夜10時まで」、次いで「夜11時まで」が多い
  • 一部の中学生は深夜0時以降までスマホを使用している
  • 10代の70%以上が「スマホの使用で自分の睡眠時間が減った経験がある」と回答

スマホ利用が睡眠不足に直結している実態が浮き彫りになっています​。

アメリカでは11~17歳の調査で約60%のが真夜中(0時)から明け方5時の間にスマホを使ったという実態が示されています​。さらに平均して10代は1日4時間以上スマホを使い、1日に50回以上もスマホを手に取るというデータもあります​。

こうした統計から、日本・海外ともに子どもたちのスマホ常用率は非常に高く、夜更かしや就寝中の使用も珍しくないことが分かります。

10代には8~10時間の睡眠が必要ですが、実際には多くの中高生がそれより短い睡眠しか取れていません​多くの子どもが慢性的な寝不足状態にあり、そこにスマホの長時間利用が関与していると考えられます。

スマホ利用が子どもの睡眠不足を引き起こすメカニズム

スマートフォンの過剰な使用が子どもの睡眠不足を招く主な要因として、以下のメカニズムが指摘されています。

ブルーライトによる生体リズムの乱れ:

スマホやタブレットなどのスクリーンが発するブルーライトは、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制します。寝る前に明るい画面を見ることで脳が「まだ昼間」と錯覚し、眠気が起きにくくなるのです​。研究によれば、特に思春期前の子どもではその影響が顕著だったと報告されています。つまり子どもほど夜のブルーライトに敏感で、睡眠リズムが乱れやすいのです。

就寝時間の遅延(夜更かし習慣):

スマホで動画視聴やゲーム、SNSなどに熱中すると、つい就寝時間が後ろ倒しになりがちです。例えば「ベッドに入ってからTikTokを見始めると眠れなくなる」と10代の子どもが語るように、寝る直前まで刺激の強いコンテンツに触れることで入眠が難しくなるケースがあります​。通知やメッセージへの反応で、結果的に睡眠時間を削ってしまう子どもも少なくありません。

睡眠途中の妨害:

スマホを枕元に置いて寝ることで、夜中に通知音やバイブレーションで目が覚めてしまうこともあります。その結果、睡眠の質が下がり途中覚醒が増えると、翌日の眠気や疲労感につながります。実際、子どもの中には夜中に一度起きてSNSをチェックする習慣がある例もありました​。このようにスマホが24時間手放せない状態になると、睡眠中でさえ脳が休まらず慢性的な睡眠不足を招きます。

以上のように、スマホ画面からの生理的な影響(ブルーライト)とコンテンツ/通知による心理的な影響の両面から、子どもの睡眠は妨げられます。その結果、「布団に入ってもスマホが気になって眠れない」「夜更かしして睡眠時間が短くなる」といった問題が生じているのです。

睡眠不足が学業成績や集中力、日常生活に与える悪影響

成長期の子どもにとって十分な睡眠は、脳と体の健康に不可欠です。しかし、睡眠不足が続くと、学業、集中力、メンタルヘルスなど、さまざまな面に悪影響を及ぼします。

1. 学業成績や認知機能への影響

睡眠中、脳は情報を整理し記憶を定着させるため、睡眠不足の子どもは注意力や記憶力が低下し、学習効率が悪化します。研究では、慢性的な睡眠不足の子どもは言語能力や問題解決能力が低く、衝動を抑えるのも難しくなると報告されています。また、成績がCやDの生徒は、AやBの生徒よりも平均25~30分睡眠時間が短いことが分かっており、わずかな睡眠差でも学業に影響することが示唆されています。さらに、高校生の4人に1人が「日中の眠気で成績が下がった」と答えており、睡眠不足が学習の妨げになるのは明らかです。

2. 集中力や行動への影響

十分な睡眠が取れないと、ぼんやりするだけでなく、多動やイライラといった症状が出ることがあります。眠気が強いと授業中に落ち着いて座っていることが難しくなり、注意散漫や忘れ物、ケアレスミスが増えることが指摘されています。日本の小中学生でも「夜更かしが授業中の集中力低下につながる」との報告があり、睡眠不足が学習態度の低下を招くことが分かっています。

3. 生活リズムやメンタルヘルスへの影響

慢性的な寝不足は、朝起きられない、日中の強い眠気といった生活リズムの乱れを引き起こします。カナダの調査では、中高生の60~70%が午前の授業中に強い眠気を感じていると報告されています。

また、睡眠不足は情緒面にも影響を与え、イライラや落ち込みを引き起こしやすくなります。これは、睡眠が不十分だと脳の感情を抑制する機能が低下し、不安や抑うつ状態に陥りやすくなるためです。さらに、免疫力の低下や肥満リスクの増加も指摘されており、長期的な健康リスクにもつながります。

スマホ利用と学習障害・注意欠陥(ADHD)との関連性

近年の研究では、子どもの過度なデジタル機器の使用とADHD(注意欠陥・多動性障害)様の症状との関連が注目されています。スマホやタブレットの長時間利用が直接的に学習障害を引き起こすとは断定できませんが、注意力や衝動性に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。

ADHD症状リスクの増加

南カリフォルニア大学の2年間の追跡研究では、スマホやSNSを頻繁に利用する10代の若者は、使用頻度が低い同年代に比べてADHD症状が現れるリスクが約2倍高いことが示されました。2,600人近い高校生を対象としたこの研究では、デジタルメディアの利用頻度が高いほど注意散漫や多動の症状が増加することが確認されています。

デジタル媒介による注意欠如の傾向

JAMAに掲載された別の研究では、SNSチェックや動画視聴などのデジタル活動を頻繁に行うティーンは、そうでない場合と比べてADHD的な症状が出る確率が約10%高くなることが報告されています。具体的には、デジタルメディアをほとんど使用しない生徒のADHD症状出現率は4.6%であるのに対し、高頻度で利用する生徒では10.5%に上昇していました。

スマホ通知による「擬似ADHD」現象

スマホの通知も注意力に悪影響を与える要因の一つです。大学生を対象にした実験では、スマホの着信音やバイブレーションの通知をオンにしていると、オフにしている時よりも注意散漫や落ち着きのなさといったADHDに似た症状が有意に増加することが確認されました。通知を常に受け取っている学生は、ADHDの診断を受けていなくても「集中が続かない」「じっと座っていられない」といった症状を多く報告しました。

スマホ利用とADHDの関係は単純ではない

これらの研究結果から、スマホやデジタルメディアの過剰利用が子どもの注意力や自己制御能力に悪影響を与え、ADHD様の症状を誘発・増強する可能性があることが示唆されます。しかし、専門家は因果関係の解明には慎重であり、スマホの利用が直接ADHDを引き起こすとは断言できません。

もともと注意力に課題を抱える子どもがスマホに依存しやすい可能性や、家庭環境など他の要因も関与していると考えられています。それでも、「子どもの注意力低下や学習上の困難の背景に過度なスクリーンタイムが関係しているかもしれない」という視点は重要です。実際、ADHD傾向のある子どもほどインターネット依存に陥りやすいとも指摘されており、スマホ利用と発達・学習上の問題には双方向の注意が求められます。

対策は?

近年、子どもの睡眠不足が問題視される中、医療・教育の専門家はスマホとの適切な付き合い方の重要性を強調し、以下のような提言がされています。

  • 就寝前1時間はスクリーンをオフにする
  • 寝室にスマホやタブレットを持ち込まない
  • 小・中・高校生のスクリーンタイムを1日2時間以内に抑える

可能であれば、休日などにデジタルデトックスデーを作ってみることをお勧めします!最初は落ち着かないかもしれませんが、「暇」という時間を過ごしてみてください。余白のような暇な時間を過ごすことが、頭の中をすっきりさせる第一歩!

スクリーンタイムと睡眠の関係

長時間のスクリーン視聴は座りっぱなしの時間を増やし、運動不足や睡眠時間の減少を引き起こします。そのため、1日60分以上の運動を推奨し、夜にはデジタルデトックスを取り入れることが望ましいとされています。特に、スマホやタブレットのブルーライトは体内時計を乱し、入眠を妨げる要因となることが分かっています。

睡眠不足がもたらす影響

睡眠研究の専門家によると、睡眠不足は子どもの認知能力、学業成績、感情面に確実に悪影響を及ぼします。睡眠医学の分野では、十分な睡眠が脳の発達に不可欠であり、学習能力や集中力の向上に直結するとされています。そのため、子ども自身が睡眠の重要性を理解し、スマホの使用をコントロールすることが重要です。

保護者の役割と家庭での対策

米国の調査では、「保護者が手本を示し、子どもと睡眠の大切さについて話し合うこと」が効果的であると報告されています。例えば、親も就寝前にスマホを控え、読書やリラックス時間を作る、一緒に決めた消灯時間以降はスマホをオフにする、といった工夫が挙げられます。

テクノロジーとのバランスを取る

専門家の意見としては、スマホの利便性を享受しながらも、子どもの健康を守るためのルール作りが必要だという点で一致しています。スマホは適切に使えば学習ツールとしても有効ですが、使用時間が長くなりすぎると成長を阻害するリスクがあるため、最新の研究データを参考にしながら家庭や学校で適切な指導を行うことが求められます。

規則正しい生活習慣の重要性

睡眠不足を防ぐには、スマホの使用制限だけでなく、規則正しい生活習慣を確立することも大切です。決まった時間に就寝・起床する習慣をつける、適度な運動をする、朝の陽の光を浴びるといったアナログな対策も、睡眠の質の向上に有効とされています。

まとめ

子どもたちが十分な睡眠をとり、健やかに成長できる環境を整えるためには、親や教育関係者がスマホとの付き合い方を工夫し、ルールを設けることが必要です。AIやテクノロジーの進化はありますが、子ども達にとって今必要なものは何かを考えることが大事ではないかと思います。

心と健康のバランスは大人になっても大事ですよね、子どもの頃に健やかな環境を作ることが大人が子どもたちを守る方法です。

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