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最近、文部科学省がデジタル教科書を正式な教科書として採用する方向にある一方、北欧ではすでに紙の教科書に戻す動きが見られます。
中でも、小学生や幼児に対して、デジタル教科書使用が子どもの脳発達に与える影響を懸念する声が高まっています。私自身子どもがいるので、スマートフォン、Ipadやパソコンで小さい頃から動画やコンテンツを見て育った子どもの脳についての影響はとても気になる話題であります。

今回は、デジタル教科書の子どもへのデメリットについて、年齢別の事例や研究結果を交えながら詳しくみていきましょう。
デジタル教科書普及の現状と背景
ICT化の進展に伴い、文部科学省はデジタル教科書を「正式な教科書」として採用する方向で動いています。しかし、一方で北欧諸国では、子どもの健康や学習効果への懸念から紙の教科書に戻す動きが見られます。特に、デジタル端末による長時間学習が、視力や集中力だけでなく、脳の発達にも影響を与える可能性が指摘されており、年齢が低い子どもほどそのリスクが高いとされています。
スマートフォンを長時間使う子どもの脳の異変
私が以前読んだ記事で、
『5歳から18歳の児童・生徒224名の3年間の脳発達の様子を、MRI装置を使って観察。そして児童・生徒の3年間の脳発達とインターネット利用頻度の関係を追いかけた結果、
ほぼ毎日インターネットを使用する子どもたちの全脳の灰白質の発達に注目すると、増加の平均値はゼロに近く、全脳の灰白質の発達が3年間でほぼ止まっていることがわかった』という。
物事の認知機能に重要な役割を果たす大脳皮質と大脳白質の発達が止まるということは、極端にいえば中学3年生になって必死に勉強しても、脳の機能は小学6年生で止まっているため結果を出すのは難しいということになる。身体は大人になっても小学生の時の脳の状態で止まってしまう可能性があるということは、とても深刻に受け止めなくてはいけない。
年齢別に見るデジタル教科書のデメリット
幼児期(2〜4歳)の影響
脳の基礎発達への悪影響
幼児期は、脳の発達が急速に進む非常に重要な時期になります。研究によれば、2〜4歳の幼児がタブレットやスマートフォンを長時間使用すると、特に前頭前野の発達に影響が出る可能性があります。
前頭前野は、計画性や問題解決能力、自己制御に関わる部分であり、ここが十分に発達しないと後の学習や社会生活に悪影響を及ぼす恐れがあります。さらに、幼児は視覚的な刺激に非常に敏感で、画面のブルーライトや急速な画像変化が、脳内の神経回路の形成を阻害するとの指摘もあります。
自然な遊びと対人交流の不足
幼児期は、身体を使った遊びや親との対話が脳の発達に欠かせません。しかし、デジタル教科書を通じた学習環境では、実際の遊びや対人コミュニケーションの機会が減少し、脳の社会性や言語能力の発達に支障をきたす可能性があります。
小学校低学年(5〜8歳)の影響
集中力の低下と読解力への影響
小学校低学年では、紙の教科書を手で持ち、書き込みやメモを取りながら学習することが、情報の整理や理解・記憶の定着に効果的だとされています。一方、デジタル教科書では、スクロールやタッチ操作が必要なため、集中力が散漫になりがちです。実際、ある調査では、5〜8歳の子どもがデジタル端末での読書に比べ、紙の教科書を使った場合の方が読解力や理解度が高い結果が報告されています。
書き込みやメモが取りにくい、字を書く頻度が減り基本漢字が書けなくなる
紙の教科書では、自由に書き込みができることで、自分の考えを整理し、学習効果を高めることが可能です。しかし、デジタル教科書では、手書き入力やタッチ操作に慣れていない子どもにとって、ノートやメモを取りにくいという問題が生じ、結果として自分で考えながら学ぶプロセスが阻害される可能性があります。
小学校高学年(9〜12歳)以降の影響
情報過多と判断力の低下
小学校高学年になると、インターネット上の情報に容易にアクセスできるようになります。デジタル教科書は、ハイパーリンクや動画、アニメーションなど多様な情報を提供するため、必要な情報と不要な情報を自分で選び取る力が求められます。しかし、判断力が未熟な子どもたちにとっては、情報過多の環境が混乱を招き、学習効果や集中力の低下につながる懸念があります。
社会性の発達への影響
また、デジタル教科書中心の授業は、対面でのディスカッションやグループ活動の機会が減少する傾向にあります。小学校高学年は、友達とのコミュニケーションを通じて協調性や自己表現力を育む重要な時期です。紙媒体を使った授業であれば、直接的なコミュニケーションが促進されますが、デジタル教科書の導入により、社会性の発達に影響が出る可能性も指摘されています。
まとめ:デジタル教科書の子どもへのデメリット(年齢別ポイント)
- 幼児期(2〜4歳)
- 長時間のデジタル端末使用により、前頭前野の発達が阻害される可能性がある。
- 自然な遊びや親との対話の機会が減り、情緒や社会性の発達に悪影響。
- 小学校低学年(5〜8歳)
- 画面読書による集中力の低下と、読解力・記憶の定着が不十分になるリスク。
- 自由な書き込みやノート取りが困難で、学習プロセスの自己整理が阻害される。
- 小学校高学年(9〜12歳)
- 多様な情報へのアクセスが増え、情報過多による判断力の低下が懸念される。
- 対面でのコミュニケーション機会が減り、協調性や社会性の発達に影響が出る可能性。
- ほぼ毎日インターネットを使用する子どもたちの全脳の灰白質の発達に注目すると、その後3年間という期間で見ると増加の平均値はゼロに近く、全脳の灰白質の発達が3年間でほぼ止まっているという事例結果がある。
これらの点から、特に幼児期や小学校低学年の子どもには、デジタル教科書による学習環境が、目や脳の発達、そして社会性の面でデメリットをもたらす恐れがあると考えられます。
今後、各国・自治体はこれらのリスクと向き合い、どの年齢層に対して最適な学習環境が提供できるかを慎重に議論していく必要があるでしょう。
今回の記事では、文部科学省が進めるデジタル教科書の採用に対し、子どもの脳発達に与えるデメリットについて、年齢別に整理しました。
今後の教育現場では、年齢ごとの発達段階に応じた最適な学習方法を模索し、子どもたちの健康や学習効果を守るための対策が求められます。
またお子さまがいるご家庭は、デジタルコンテンツとの向き合い方を、ご家族で話し合ってルールを決めて使っていくことが大切ですね。
最後までお読み頂きありがとうございました。